Franz Ferdinandの大成功以降、気が早いことにメディアは「ポスト・フランツ」を血眼になって探している状態のUKロック界。
Maximo Park、Kaiser Chiefs、The Departure等々・・・いちいち「コイツらは本物だ!」と言われるものだから、最近は新人のデビュー盤の帯の謳い文句を見ては懐疑的になってしまって困る。
で、結局誰が本物なの?
何組いるか解らない「今度こそ本物の新人」の中で、今とりわけUKで「話題騒然」となっているバンドが『北極猿』という名のこいつら。本国ではとうとうシングルが1位を取ってしまったという半端無い超新星。
日本でもUKロックファンの間でどこからともなく噂が広がり、アルバムも出ていないのに来日ライブのチケットは完売、急遽同日2公演とすることが決まったほど。
そんな話を聞いておいてTOWERの試聴コーナーで見つけたら、聴かずにいられるわけがない。
ジャケットデザインもなかなか格好いいシングル盤"I Bet You Look Good On The Dancefloor"は、フランツの新譜と並べて置いてあった。
なるほど、これは騒がれるのも解る。UKロックファンのツボのド真ん中だよ。
けれん味なく、でも初期衝動ほどノータリンでもなく、UKの土で純粋培養された正当派ロック。
Kaiser Chiefs、The Braveryあたりのニューウェーブ系のヒネた音に食傷気味になってた人達にとっちゃ、これを聴いたら「久々にリバティーンズみたいな奴らが出てきてくれた!」と諸手を挙げて大歓迎モードになるんだろうな。
何よりこのバンド、底が知れない。あくまで現時点である音源を聴いた限りでは、という話だけど。
ここしばらくのUK新人バンドのデビュー盤が、数曲聴いただけで、ああこの人たちはこういう音が好きで、こういうのを作りたいのね、というのがだいたい解ってしまい、次のアルバムを聴いてみたいという気があまり起きないのに対して、このArctic Monkeysは、これだけで終わるバンドじゃなさそうだと聴き手に思わせる「何か」を持っている。
そこがこのバンドが他の数多の新人達と1ランク違う扱いをされている最大の要因だと思う。
とりあえずアルバムを早く聴いてみたい。アルバムだと意外と退屈になってしまってるかもしれないし、あるいは本格的にヤバくなってるかもしれない。
どうでもいいけど、シングルの3曲目のタイトル"Chun Li's Spinning Bird Kick"には日本人としてはどう突っ込んだらいいんだろう。
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