デビュー盤としてはあまりに完成度の高い1stで多くのファンを生み、期待とプレッシャーを背負いつつも焦ることなくじっくりと3年間熟成させて放たれたTCTCの2nd。
このバンドについて、このバンドの音楽性について、ずばりこれと説明付けるのはなかなか難しいと思う。
様々なアーティストから受けた古今東西の音楽性の影響は前作以上にごった煮にされ、特にエレクトロニカの要素が顕著になった。
02. Promises Promisesのノイジーでラウドなロックサウンド、
03. New Toysのアンビエント・テクノ風味の叙情性、
06. Blind PilotでのUKロックの面目躍如的メロディワーク、
07. A.I.MのAphex Twin×Primal Screamな轟音デジロック、とこうして並べて書いてみても一つのアルバムに収まりきれずにはみ出してしまいそうな多彩な才気が溢れ出ている。
楽曲としてどれもが高い水準にあり、しかも彼らはライブパフォーマンスという武器も携えている。
相当格好良くて完成度も高い。けど、どこか物足りなさを感じなくもない。難しいラストパスにいつも綺麗に足を合わせているもののバーやポストに当てることが多くてダイジェストで見ると美しいシュートシーンばかりなのに得点を見たら1-0で辛勝、という感じのアルバムだと思う。
大風呂敷を広げすぎて収拾がつかなくなってしまっているのか、はたまた出来ることもやりたいことも多すぎてその才能を持て余してしまっているのか。少なくとも私の耳にはこのアルバムは後者に聴こえる。
発売の遅れている次作3rdがやっと届いた時、未だどうも掴みどころのない彼らの正体がやっと見えてくるかもしれない。
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