またこんなコメントに窮する「2枚目」を手渡されて私はどうすればいいんだよとKasabianの時と同じく困り果ててしまったわけだ。
とにかく初めて”Somebody Told Me"のPVを観たときの笑撃たるや、君らどこまで本気なんだよとどう突っ込めばいいのか解らない戸惑いと、ニューウェーヴ馬鹿天晴れここに極まれりという手放しの賞賛とでその年のベストチューン即確定だったのです。
はてさて全世界でウン百万枚売ったあの傑作の後の2ndである。今まで2ndでコケて見事一発屋の名を欲しいままにしたバンドがどれだけあっただろうか。
かくしておっかなびっくり聴いてみたところ、やはりというか初めの印象は「ああ、違うな」と。見事に全く違うモノになってしまった。
元々インタヴュー記事などで「もっとUSロックの要素を取り入れたい」というようなことを聞いていたから、前のようなニューウェーヴ満開なノリからは離れるんだろうとは予測していたけど、やっぱり私はどこかであのノータリンなキラキラサウンドの幻影を追い求めていたらしい。
しかしそれでも我慢してアルバムを周回させていると、1回目「いまいち」から2回目「悪くないんじゃない?」へ、そして3回目、通勤電車の中、天啓が降りてきたかのように「あ、いい」とここでやっとピンと来たのである。
そうか、彼らはニューウェーヴを捨てて「ギターロックのスタンダード」化を目指したんだね。
確かに前作における"Mr. Brightside"と"Somebody Told Me"のような圧倒的なキラーチューンは無くとも、楽曲は粒揃い。特に
03. When You Were Youngは新たなアンセムになりそうな名曲だし、
08. Bonesのどこかローファイな感じも良い。
10. This River Is Wildが前作の方向性に一番近く、さらに世界観はスケールアップしている。
でも、ボーカルスタイル変わったよね。何だか誰かに似てるなあと思って聴いていたらやっと解った、Robert Smith御大に歌い方がちょっと似てませんか。
とにかく、前作ほどの勢いは無いのは確か。でも、気合いの入った良作なのも間違いない。
"Somebody Told Me"のトレースをひたすら期待するわけじゃなければ、3回くらい聞けばきっと良さが解る好盤。
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