Club Footの衝撃から2年。あの時期のUKは新人バンド大量生産状態だったが、今思えばFranz FerdinandとこのKasabianの「二人勝ち」だった。
二組は見事にダンスロックの陰と陽を分かち合い、Kasabianの漆黒のグルーヴはFranzとは異なりフォロワーらしいフォロワーを生まなかった。
特別前作が好きだったわけではない。とはいえ、デビュー作を70万枚売り、有象無象の英国ロック界の中で一人ユニークな立ち位置に陣取り、新人らしからぬ態度でふんぞり返る姿は無視できるはずもなく、またそんなふてぶてしさが好ましくもあった。
そして届いた新作。
もう結構前に入手して聴いてはいたものの、なかなかレビューを書けずにいた。どうにもなかなか印象が掴めず、感想も固まらず、正直今でもどうコメントしたものか悩むのだ。
音楽的には大きな変化はない。真っ当な前進とはこのこと。
サイケな雰囲気にあくまでロックな縦ノリ感はそのままに、ストリングスやブラスを取り入れたりして新しいアプローチも見せてくれる。
でも、そうやってなるほどなるほどと思って聴いていて、いつのまにかアルバムが一周している。もう一度聴き直してみても、何か取っかかりが掴めない。
どうもこれは、こぢんまりと纏まり過ぎてないか。優等生になってしまってないか。
そして、一番期待していた部分、つまりKasabianならではの「黒さ」が影を潜めているのが最大の問題。
前作とあまり変わっていないはずなのに、何か物足りない。ピースの欠けたジグソーパズルのような手落ち感が最後まで抜けず、今でもモヤモヤして仕方がないのだった。
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