これだから隔週タワレコ視聴ツアーはやめられません。久々に掘り出し物の発掘に成功。
日本盤未発売のMute Mathデビュー盤。 この人たち何者なんだと調べてみたら、LA出身の新人バンドで、あちらでは色々なビッグネームの前座を務める等かなり注目されているらしい。 名前も知らなければ国籍も知らない状態で何気なく視聴用のヘッドフォンを装着し、店頭ポップのお薦めコメント通り4曲目にセットしてみる。 透明感のあるギターにトリッキーなドラムが絡み、さらにボーカルが裏拍子で被さった時点でゾクゾクと来た。文句なしに格好いい。 衝動買いしてからゆっくりアルバム全編聴いてみると、前述の04. Chaosのような疾走感のあるロックナンバーだけでなく、インストゥルメンタルありバラードありでバリエーションも豊富、なかなか聴き応えがあってデビューアルバムであることも考えると期待通りかそれ以上。 音の質感やボーカルスタイル(発音も何故だかあまり米国式じゃない)からしてUKバンドだと思いこんでいたらUS出身ということで意外だったけど、聴いているうちに西海岸的らしい明るさ、大らかさを感じられてきたり、凝ったドラムトラックがいかにもUSインディバンドっぽかったりでなかなか面白い。UKとUSの美味しいエッセンスをうまく混ぜた音と言えるかも。 ジャンル分けするとポストロックになるんだろうか。でもMogwaiや65daysofstaticのような音響系とは一線を画す、眉間に皺を寄せずにリラックスして聴ける爽やかな新世代ロック。カーステレオにも合いそうです。 PR 前編通して男気溢れる正統派ロック全開。とにかくカッコイイ。
デビューアルバム以降いろいろな理由から転落人生を歩んでいたOCSが、Paul Wellerの協力もありなんとかレコード会社と契約、発売にこぎつけたのがこの2ndで、彼らの出世作。 冒頭、01. The Riverboat Song、02. The Day We Caught The Train、03. The Circleと畳みかけるロックンロール・ブレイクアウトを聴けば、古式ゆかしい正統派ロックの良さを知る人なら必ずおおっと引き込まれるはず。 とにかく泥臭い、男臭い、古臭いと三拍子揃っちゃってますが、こういうロックを臆面なく鳴らせて、しかも最高にキマってしまう人達です。 Simonの渋い声がまたモッズソウル溢れきっててビリビリ痺れる。ちょっぴり声質がPaul McCartneyに似てるかも(私はBeatlesなら絶対Paul派です)。 ブリタニカ百科事典に「Mods」の項があるならばPaul Wellerの下に是非彼らの名前を加えていただきたい。 ライブアクトでも高い評価を受けるOCS、2001年のサマーソニックでは素晴らしいステージを披露したそうな。生音でRiverboat Songのギターリフを聞いた日には痙攣を起こしそうなものですが、2002年のソロツアー以後とんと来日してくれない。来日が決まったら間違いなく見に行きたいバンドの1組である。 健康的で若々しい新人バンドが元気な最近のUK、不安と混沌に支配されている昨今の世界情勢の反動が来ているんだろうかと勘ぐってしまうけど、英国にはこいつらのようなオプティミズムとは無縁のバンドがいつの時代もやっぱり必要なのだ。
倒錯、病的、不穏、焦燥、まさに「不健康」ロックの代表選手。こんな彼らを愛することが出来れば貴方は立派なUK中毒です(ブライアンはイギリス人ではないけれど)。 2003年の4thアルバム。出来過ぎなほどに美しすぎる。 ヘヴィなギターリフと激しいバックトラックが絡み合う01. Bulletproof Cupidに始まり、かの国の夏の雨天をミニマルに無機質に憂う02. English Summer Rain、すすり泣くような電子音が美しく儚い04. Sleeping with Ghost、そして05. Better Endまで聴いてしまえば胸が掻きむしられるような息苦しさを覚えて一旦プレイヤーを止めたくなってしまう。 エレクトロサウンドとギターロックの融合なんてあまりに使い古された謳い文句だけど、ここまでこの手法を使って独自の美意識の表現に完璧に帰着させたアルバムって他にあるのかな。 ブライアンの癖のある声は正直決して好みじゃないのだけど、情熱的に歌い上げるわけでも情感を込めて朗々と歌うわけでもないのに、何か悲痛で行き場のない叫びが体内にどろどろと流れ込んでくるような、この気持ち悪くて気持ちいい感覚。耽美で歪んで麻薬のように危うい。 聴き過ぎるとそれこそオーバードーズしそうなので危険物指定したいと思います。これを聴くのは1日1回に抑えましょう。 ジェームス・ラヴェル率いるレーベルMo'waxが初めて契約したロック・バンドであ るSouth。その後Mo'waxから他のレーベルに移籍、そしてそのレーベルが潰れるという憂き目に遭うわけだが、今作はそのレーベル所属時に発表した2ndアルバム。
3ピースながら、3人は曲によって楽器を色々持ち替えているということで、音に薄っぺらさはまったくなく、むしろストリングス等を多用した多層的なサウンドになっている。 曲はジャケット通り「幻想的」という言葉がぴったり。排気ガスにまみれたせわしない東京の街からハリー・ポッターの世界へ現実逃避できる。 中でも01. Colours in Wavesは超名曲。どうしてエレキギターを使ってこんなに優しい音楽ができるんだろう。突き抜けるようなスネアの響きが直接心を振動させる。この曲に限らず全体を通してタイトなドラミングがとても効いていて、全体を引き締めている。 01. Motiveless Crimeや05. Fragile Dayのラストの盛り上がりも鳥肌もの。 この民族音楽的でドリーミーな響きは、たとえばS&Gのスカボロー・フェアをも思い起こさせる。スカボロー・フェアのロック版。そんな音楽、聴いてみたいと思いませんか。 今年の11月に単独来日も予定されているということで、新作もさることながらこの頃の楽曲を是非生で聴いてみたい。(果たして多少歌は上手くなったのだろうか?) Coldplay、Travis、そしてこのStarsailor。3大UK叙情派ギターロックバンドと勝手に呼ばせていただいている。私が今更説明しなくても彼らの共通点はUKロックファンには自明の理だろう。
Coldplayは日本でも武道館ライブをやるほどの扱いだし、Travisも今や「国民的バンド」の肩書きを戴いてる一方で、Starsailorはいつまでも地味な存在。 でも彼らのひたすら「いい曲」を作ろうとするストイックな職人気質は他の2組にも引けを取らないどころかショウビズを無視しても極限まで研ぎ澄まされている、と思う。 3rdも佳作ではあったけど、私はこの2ndが一番好き。Travisの"The Man Who"にも似た盲目的なストイックさで、ひたすらグッドメロディとメランコリアを最後まで描ききってくれた。 02. Fidelity、04. Silence Is Easy、そして極められたるは09. Four To The Floor。クドいほどにかき鳴らされる天衣無縫の哀愁ギターロック。 そして、デビュー当時「奇跡の歌声」と謳われたJames Walshのボーカルワークが美しい旋律にそっと人間的な情動を添える。所謂「美声」とは違う少し鼻に掛かった彼の声が聴くほどに愛おしくなる。 これを聴いて退屈だと感じたら、それは決して間違いではない。退屈さと紙一重のところで、しかし彼らは迷いなくどっしりと腰を据えているのだから。 小手先のバリエーションも派手な演出もいりません、日々ろくろと対峙する陶芸家よろしく、彼らは腕一本で黙々と仕事をこなします。 デビュー盤としてはあまりに完成度の高い1stで多くのファンを生み、期待とプレッシャーを背負いつつも焦ることなくじっくりと3年間熟成させて放たれたTCTCの2nd。
このバンドについて、このバンドの音楽性について、ずばりこれと説明付けるのはなかなか難しいと思う。 様々なアーティストから受けた古今東西の音楽性の影響は前作以上にごった煮にされ、特にエレクトロニカの要素が顕著になった。 02. Promises Promisesのノイジーでラウドなロックサウンド、03. New Toysのアンビエント・テクノ風味の叙情性、06. Blind PilotでのUKロックの面目躍如的メロディワーク、07. A.I.MのAphex Twin×Primal Screamな轟音デジロック、とこうして並べて書いてみても一つのアルバムに収まりきれずにはみ出してしまいそうな多彩な才気が溢れ出ている。 楽曲としてどれもが高い水準にあり、しかも彼らはライブパフォーマンスという武器も携えている。 相当格好良くて完成度も高い。けど、どこか物足りなさを感じなくもない。難しいラストパスにいつも綺麗に足を合わせているもののバーやポストに当てることが多くてダイジェストで見ると美しいシュートシーンばかりなのに得点を見たら1-0で辛勝、という感じのアルバムだと思う。 大風呂敷を広げすぎて収拾がつかなくなってしまっているのか、はたまた出来ることもやりたいことも多すぎてその才能を持て余してしまっているのか。少なくとも私の耳にはこのアルバムは後者に聴こえる。 発売の遅れている次作3rdがやっと届いた時、未だどうも掴みどころのない彼らの正体がやっと見えてくるかもしれない。 タワレコで例の如く試聴ツアーを敢行していたら、Placeboの1stのDVD付き輸入盤が特価で売られていた。全世界で600万枚のセールスを記念してのコレクターズ・エディションとの解説文。
デビュー当時からのアングラなイメージはそのままに、今ではセールス面でも大きな成功を収めUKを代表するバンドの一つである彼ら。日本での知名度は皆無でも、04年発売の4thは世界中で大ヒットを記録し、同じ年にリリースされたライブDVDはその年に最も売れたVIRGINのDVDメディアにまでなった。 95年、デビュー作での彼らは、まだ若い。 ファーストシングルとなった01. Come Homeに代表される初期衝動的な切れのいいギターカッティングは拍子抜けするほど耳馴染みが良い。 とはいえ、やはり彼らの歪んだ美意識が奥底に蠢いている。いびつで、刺々しく、それなのにどこか端正で、触ってみるとひやりと冷たい。この「歪んだ均整」こそ、他の世界中のバンドを探してみてもなかなか似た感触を見つけられない彼らオリジナルのモノであり、そこにはかなりの毒性(あるいは中毒性)が含有されているのである。癖になることこの上ない。 ブレイクのきっかけとなった06. Nancy Boyもインディロックを地でいく良曲だが、個人的には11. Sluckerbitchの苛立ちをぶちまけたような攻撃性がたまらなく快感だ。 またこんなコメントに窮する「2枚目」を手渡されて私はどうすればいいんだよとKasabianの時と同じく困り果ててしまったわけだ。
とにかく初めて”Somebody Told Me"のPVを観たときの笑撃たるや、君らどこまで本気なんだよとどう突っ込めばいいのか解らない戸惑いと、ニューウェーヴ馬鹿天晴れここに極まれりという手放しの賞賛とでその年のベストチューン即確定だったのです。 はてさて全世界でウン百万枚売ったあの傑作の後の2ndである。今まで2ndでコケて見事一発屋の名を欲しいままにしたバンドがどれだけあっただろうか。 かくしておっかなびっくり聴いてみたところ、やはりというか初めの印象は「ああ、違うな」と。見事に全く違うモノになってしまった。 元々インタヴュー記事などで「もっとUSロックの要素を取り入れたい」というようなことを聞いていたから、前のようなニューウェーヴ満開なノリからは離れるんだろうとは予測していたけど、やっぱり私はどこかであのノータリンなキラキラサウンドの幻影を追い求めていたらしい。 しかしそれでも我慢してアルバムを周回させていると、1回目「いまいち」から2回目「悪くないんじゃない?」へ、そして3回目、通勤電車の中、天啓が降りてきたかのように「あ、いい」とここでやっとピンと来たのである。 そうか、彼らはニューウェーヴを捨てて「ギターロックのスタンダード」化を目指したんだね。 確かに前作における"Mr. Brightside"と"Somebody Told Me"のような圧倒的なキラーチューンは無くとも、楽曲は粒揃い。特に03. When You Were Youngは新たなアンセムになりそうな名曲だし、08. Bonesのどこかローファイな感じも良い。10. This River Is Wildが前作の方向性に一番近く、さらに世界観はスケールアップしている。 でも、ボーカルスタイル変わったよね。何だか誰かに似てるなあと思って聴いていたらやっと解った、Robert Smith御大に歌い方がちょっと似てませんか。 とにかく、前作ほどの勢いは無いのは確か。でも、気合いの入った良作なのも間違いない。 "Somebody Told Me"のトレースをひたすら期待するわけじゃなければ、3回くらい聞けばきっと良さが解る好盤。 日本限定企画盤で、タイトルの2曲はPVまで作られていながらオリジナルアルバムには収録されていない知られざる佳曲です。 (何故PVが存在するのか、その経緯を私は知りません。ご存じの方、教えてください) しかし問題は、いや問題というのもおかしいのだけど、このCDにはこの2曲の他に、数多のカバー曲が百花繚乱なかの往年の名曲"Can't Take My Eyes Off You"が同時収録されてるんですね。ぶっちゃけこれ目当てで買った。 いややっぱりこれは問題と言った方がいいのかもしれない。The Smithのカバー"Please Please Please Let Me Get What I Want"を聴いたときも椅子からずり落ちそうになった私であるが、今回もバッチリお~いお茶(濃い味)を吹き出しかけたね。 意外にもソフトなイントロでうっかり油断していたら、サビ前から急転直下でMUSEワールドに突入。不意打ちのカッティングを喰らって来たぞ来たぞ、そしてあのテーレッ・テーレッ・テーレレッテッテのリフでお約束的にベラミーのギターが呻りだし、サビの"I Love You Baby~♪"に至ってはいよいよベラミー節全開で原曲の雰囲気ブチ壊し。いやあ笑った。 もう"baby"という単語が原曲とは違う代物になってるよね。言うならば"Plug In Baby"のbabyだからね。 つまり結局は、引っ張って引っ張ってドッカーン!という彼らのお決まりのパターンに無理やり持ち込むわけだけど、もう何度同じことをされようが何度でも毎回骨抜きにされるから敵わない。 英国産直球スクリーモバンドLostprophetsの3rd。
サマソニでのイメチェン(前髪が鬱陶しいヴィジュアル系からベストに蝶ネクタイのトラッドスタイルへ)と文化祭バンドのようなやんちゃっぷりがなんだかんだで可愛くて、この3rdもなんだかんだで結構聴き込んでしまって、なんだかんだで気に入ってしまっている自分がちょっと悔しい。 オープニングを飾る01.Everyday Combatの、Weezerがメタルに走ってみましたかのような重たくもキャッチーに加速する疾走感。たまに挿入される無意味なデス声シャウトやFoooh!の掛け声がまたいかにも頭が悪そうでとっても良い。 デビューしたての若者バンドの若さが任せて無鉄砲に突っ走る馬鹿さとは違う、この確信犯的な頭の悪さ。これもまた英国の風土が成せる業なのか。 リードトラックである04.Rooftopsは、あまりに狙いすぎな「みんなで唄おうアンセム」で、いい曲というよりむしろ微笑ましい。 割り切ったポップネスは2ndが好きな人からすると物足りないだろうし、この人達が本領を発揮するのはスピード感のあるハードコアナンバーだろう。でも私はこの割り切り方が嫌いじゃない。 どこまでも爽やかで、汗臭くなく、どこか愛嬌があって、若干知性は足りてない。 この匙加減、やっぱり結構好きだ。 |
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