
健康的で若々しい新人バンドが元気な最近のUK、不安と混沌に支配されている昨今の世界情勢の反動が来ているんだろうかと勘ぐってしまうけど、英国にはこいつらのようなオプティミズムとは無縁のバンドがいつの時代もやっぱり必要なのだ。
倒錯、病的、不穏、焦燥、まさに「不健康」ロックの代表選手。こんな彼らを愛することが出来れば貴方は立派なUK中毒です(ブライアンはイギリス人ではないけれど)。
2003年の4thアルバム。出来過ぎなほどに美しすぎる。
ヘヴィなギターリフと激しいバックトラックが絡み合う
01. Bulletproof Cupidに始まり、かの国の夏の雨天をミニマルに無機質に憂う
02. English Summer Rain、すすり泣くような電子音が美しく儚い
04. Sleeping with Ghost、そして
05. Better Endまで聴いてしまえば胸が掻きむしられるような息苦しさを覚えて一旦プレイヤーを止めたくなってしまう。
エレクトロサウンドとギターロックの融合なんてあまりに使い古された謳い文句だけど、ここまでこの手法を使って独自の美意識の表現に完璧に帰着させたアルバムって他にあるのかな。
ブライアンの癖のある声は正直決して好みじゃないのだけど、情熱的に歌い上げるわけでも情感を込めて朗々と歌うわけでもないのに、何か悲痛で行き場のない叫びが体内にどろどろと流れ込んでくるような、この気持ち悪くて気持ちいい感覚。耽美で歪んで麻薬のように危うい。
聴き過ぎるとそれこそオーバードーズしそうなので危険物指定したいと思います。これを聴くのは1日1回に抑えましょう。